大学時代に「軽度のヘルニア」と言われ、当時は両足がしびれて起き上がるまでに30分、立ち上がるまでにさらに30分かかったという男性。今もバドミントンを続け、大会に出たり子どもたちに教えたりしています。先月、子どもたちとの合宿でプレー中、ラケットを振り抜いた瞬間に腰へ「ピキッ」と痛みが走り、それからずっと痛みが引かないと来院しました。
今、一番つらいのはどのあたりですか。
左の腰です。左の腰が痛くなると、なぜか右の首まで詰まってくるんです。腰から股関節もつって、右の背中と首が突っ張ってきます。
左の腰と右の首。体を斜めに横切るラインでつながっていますね。
腰からお尻にかけて痛み、前かがみになると響きます。仰向けでは眠れず、横向きでなんとか寝返りを打つ状態。ラケットを振り抜く動きや、後ろへ体重をかける動きが特につらく、痛みだけでなく「怖さ」もあると言います。それでもハードにプレーを続けているため、筋肉はしっかりついていました。
仰向けはもう寝れないので、横向きで、寝返りのときにちょっと頑張って眠る感じです。
振り抜くのはつらい。後ろへ体重をかけるのも痛いですね。
振り抜くのは痛いです。後ろに体重をかけると痛いし、怖いのもあります。
左右の回旋では、どちらに回しても腰は左が痛むと言います。前屈は見るからにつらそうで、後屈も相当な痛み。踏み込んで片足に体重を乗せると、右の後ろが一番痛い。しゃがむと後ろが突っ張り、立ち上がるときに腰が気になる——痛みが一か所に留まらず、あちこちに散っている状態でした。
まず右回旋。このとき腰は。
左が痛いです。
では反対に回して。
これも左です。
前屈は……痛そうですね。踏み込んで片足になったときは。
右の後ろが一番痛いです。
沖倉先生が触れたのは、腰ではなくお腹でした。胸椎まわりの詰まり、そして胃と肝臓の間、腸をつつむ膜の癒着を確認します。ここが硬く固まると、体を斜めに横切るラインで胃・肝臓から肩へと引っ張りが伝わり、左の腰と右の首・肩が同時に痛む——という見立てです。
胸椎のところが詰まっていますね。胃と肝臓の間の膜、腸をつつむ膜のつながりが、すごく固まってしまっている。この横のラインで、こちらが痛くなると反対のこちらも痛くなる。胃や肝臓の方から肩の方へ来ている、そんな感じです。
スポーツをやっている人の癒着に、特徴はあるんですか。
膝や足を使いすぎて炎症からなる人が多い。でも本当の原因は、そこより胃や骨盤の中、骨のところから起こっているケースが多いんです。股関節や骨盤の中、仙骨の周辺が悪い人は、捻挫しても一週間で治らず、一か月も二か月も長引く。整骨に通ってもぶり返す。長引くときは、体のどこか別のところに原因があります。
普段の食事を尋ねると、できあいのものや揚げ物、肉が多いとのこと。悪い食生活が腸内の炎症を招き、そこから「内臓反射」と呼ばれる反応が起きて、体の表面の膜まで全体的に硬くなっていく——だからこそ、改善の鍵は食事にある、と沖倉先生は言います。
普段の食事はどんなものを。
あんまり良くないです。できあいのものを買ってきたり、揚げ物とか、肉が多かったり。
それはもう分かっているから、改善すれば良くなる部分だと思いますよ。何を柔らかくするか以前に、まず悪いものを食べないこと。食べなければ、自然に良くなってきます。加工食品、ファーストフード、油もの。特に居酒屋系の油ものはものすごく悪い。コンビニの食事もずっと続けると、そうなってしまいます。それをやめるだけで、すぐ改善すると思いますよ。
お腹に手を当てると、本人にも張りが分かるほど。そこをゆるめていくと、硬くて入らなかった指がだんだん奥へ入っていきます。腰の後ろの骨の痛みも、お腹側からのアプローチで抜けていきました。
お腹のここ、張っているのが分かるでしょう。
はい、分かります。
緩んでくると、こんなふうに指がどんどん入っていく。だいぶいいですよ。ほぼ完璧かもしれない。うまく取れています。
言葉にしづらいですけど……うまく取れてます。
起き上がってもらうと、動きが軽い。しゃがみ込み、前屈、後屈、左右の回旋、そして片足に体重を乗せる動きまで、順に再検査していくと、いずれも痛みなくこなせるようになっていました。
全然違います。背中の詰まりが、本当になくなりました。
しゃがんでみましょう。……おお、全然違いますね。
腰が怖くないです。軽い。下りはもう、何の痛みもないです。
前屈、後屈もいいですね。回旋は、さっきお腹をやったので……右、反対、オッケー。片足に体重を乗せて。
全然、体重を乗せられます。痛くない。久しぶりに、こんなに体が軽いです。
今回、一番困っている症状はどれですか。
左の腰です。先月、子どもたちと合宿でバドミントンをしていて、振り抜いた瞬間にピキッとなって、それからずっと痛くて。
腰が痛いのに、右の首や肩まで来ると。
左の腰が痛くなると右の首が詰まって、腰から股関節もつるんです。腰が痛くなると、右の肩のあたりが膨らんでくるような感じもあって、肩が後ろに行かなくて。
この状態で、今もスポーツは続けているんですか。
やってます。大会に出たり、子どもたちに教えたりもしています。
筋肉はしっかりついていますね。かなりハードにやってこられたんでしょう。寝るときは。
仰向けはもう寝れないので、横向きです。寝返りのときにちょっと頑張る感じで。
では動いてみましょう。振り抜く動きや、後ろへ体重をかける動きは。
振り抜くのは痛いです。後ろに体重をかけるのも痛くて、怖さもあります。しゃがむのも、今はもうこれで痛いです。
胸椎のところが詰まっていますね。胃と肝臓の間、腸をつつむ膜のつながりがすごく固まっている。ここが横のラインで肩まで引っ張っているんです。
腰が痛いのに、お腹が原因なんて考えたこともなかったです。
スポーツの人は膝や足の使いすぎだと思われがちですが、原因が胃や骨盤の中にあることが多い。長引くのは、体の中のどこかが悪いサインです。普段の食事はどうですか。
あんまり良くないです。できあいのものや揚げ物、肉が多くて。
加工食品、ファーストフード、油もの、特に居酒屋系の油はよくない。それをやめるだけで、すぐ改善すると思いますよ。……はい、お腹をゆるめました。起き上がってみましょう。
全然違います。背中の詰まりがなくなりました。しゃがんでも腰が怖くないし、体重も乗せられる。痛くないです。
やったところを説明すると、胃と肝臓がすごく固まっていて、そこから斜めに引っ張られていた。右のこちらが痛くなると反対のこちらも痛くなる、その中でつながっていたんです。それが腰に波及して、股関節の内側、太ももの真ん中あたりまで来ていました。あとは食生活を少し変えれば、この良くなった状態をキープできますよ。
やられている間に、だんだん柔らかくなって筋肉が伸びていくのがすごく分かりました。久しぶりに、こんなに体が軽いです。運動よりも、食事なんですね。やってみます。
ヘルニア・坐骨神経痛という悩みを抱えた方の症例です。バドミントンで腰から太ももへ痛みが走る方という生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。
六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。
六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。