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歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばりをゆるめる
「10秒」セルフケア

朝アゴが疲れている、日中も気づくと噛みしめている——。理学療法士が、原因のやさしい解説と、今日からできるセルフケアを動画・図でご紹介します。

解説:六層連動操法 開発者・沖倉国悦(理学療法士)

こんなこと、ありませんか?

  • 朝起きると、アゴや頬・こめかみが疲れている・だるい
  • 日中、気づくと歯をグッと噛みしめている
  • アゴが開けにくい、口を開けるとカクッと音がする
  • 頭痛・肩こり・首のこりがなかなか抜けない
  • 歯医者で「歯がすり減っている」「食いしばりの跡」と言われた

なぜ、食いしばってしまうの?

歯ぎしり・食いしばりに悩む方の多くは、じつは顎関節症を併発しています。その大きな原因が、頬の表面の筋肉(咬筋・側頭筋)よりも、あごの奥にある深い筋肉「内側翼突筋(ないそくよくとつきん)・外側翼突筋(がいそくよくとつきん)」のこわばりです。

あごの奥にある深い筋肉「内側翼突筋・外側翼突筋」。ここのこわばりがカギです(動画より)
あごの奥にある深い筋肉「内側翼突筋・外側翼突筋」。ここのこわばりがカギです(動画より)

この奥の筋肉が縮こまると、下あごが前・内側へ引っ張られ、噛み合わせがずれて口が開きにくくなります。あごの痛み・食いしばりが悪循環に。猫背や自律神経の高ぶりも、この奥の筋肉の緊張とつながっています。

奥の筋肉が縮まると、下あごが前・内側へ引っ張られ、噛み合わせがずれます(動画より)
奥の筋肉が縮まると、下あごが前・内側へ引っ張られ、噛み合わせがずれます(動画より)

今日からできる、やさしいセルフケア

動画では2つのセルフケアを紹介。①その場であごをゆるめる速攻ケアと、②体のつながりから整える根本ケア。どちらも10秒・道具なしです。

まずは口を大きく開けてみましょう。指が縦に何本入りますか? ケアの後にもう一度開けると、変化を実感しやすくなります。

1

あごの奥をゆるめる(下あごを後ろへ)速攻ケア/10秒×1回

手の小指側のふくらみを、耳の下のゴツゴツした骨(下あごの角)に左右あてます。あごをその手に軽く乗せ、頭と全身は脱力。そのまま少し下を向いて10秒キープ。前へずれた下あごが戻り、口の開きが軽くなります。

小指側のふくらみを耳の下(下あごの角)に当て、あごを乗せる(動画より)
小指側のふくらみを耳の下(下あごの角)に当て、あごを乗せる(動画より)
頭は脱力し、少し下を向いて10秒キープ(動画より)
頭は脱力し、少し下を向いて10秒キープ(動画より)
2

首の横をゆるめる(体のつながりから)根本ケア/10秒

あごの奥の筋肉は、体の内側を貫く筋膜のつながり(ディープフロントライン)とつながっています。両手で首の横をやさしくつかみ(※のどには触れない)、首の横の筋肉(胸鎖乳突筋・斜角筋)を軽く下へ引き下げるように10秒。寝る前などに。

首の横(胸鎖乳突筋・斜角筋)を、のどに触れないよう軽く下へ引いて10秒(動画より)
首の横(胸鎖乳突筋・斜角筋)を、のどに触れないよう軽く下へ引いて10秒(動画より)

いつやる? ①は日中こわばったと気づいたとき、②は寝る前や口が開きにくいときに。立っても寝ていてもOKです。

やるときの注意

無理は禁物。 痛気持ちいい” までにしましょう。

  • 口が指2〜3本分開かない/開けると強く痛む
  • あごの音に加えて痛みがある・悪化していく
  • 歯の痛み・欠け・しみが強い(歯科・口腔外科へ)

セルフケアは日常のケアです。強い症状や長引く痛みは、歯科・口腔外科・かかりつけの専門家へご相談ください。

「なかなかゆるまない」「体全体のこわばりから見直したい」という方は、六層連動操法の考え方で全身のつながりから整える方法もあります。お近くの認定治療院で相談できます。

日中は「歯を離す」だけで、あごは休まります

本来、上下の歯が触れ合うのは食事のときなど1日わずか。それ以外の時間に歯が触れているだけでも、あごの筋肉は働き続けてしまいます(歯列接触癖・TCHと呼ばれます)。

気づいたら「唇は閉じて、歯は離す」。舌を上あごに軽くつけると、自然と歯が離れます。パソコンや冷蔵庫に付箋を貼って思い出すだけでも、あごの負担はぐっと減ります。

効果を高めるコツ

  • ①の速攻ケアは、あごの力を完全に抜いて手に預けるのがコツ
  • ②の首のケアは寝る前に。布団の中で行ってもOK
  • ケアの前後で「口の開き(指何本分か)」を比べると変化が分かる
  • 枕は高すぎないものを。高い枕はあごを引いた姿勢になり、食いしばりやすくなります

よくある間違い

あご・のどまわりはデリケートです。強い刺激は禁物。

  • あごや頬をグリグリ強くマッサージする
  • 「カクカク鳴らせば治る」と、わざと音を鳴らす
  • のどを強く押す——気分が悪くなったらすぐ中止してください

ふだんの生活で気をつけること

頬づえ・片側だけで噛むクセ・うつぶせ寝は、あごに偏った力をかけ続けます。また、寝る直前までスマホを見ていると自律神経が高ぶり、睡眠中の食いしばりが強くなりがちです。寝る前は②の首のケアと深呼吸で、リラックスして眠りにつきましょう。

首・肩のこわばりが強い方は肩こりのセルフケアもあわせてどうぞ。

1日の取り入れ方(例)

「気づいたとき」の積み重ねが、あごの負担を減らします。

  • :起きてすぐ①の速攻ケア10秒。朝のあごの重さをリセット
  • 日中:付箋やスマホの通知で「歯を離す」を思い出す。こわばったら①
  • :入浴後や布団の中で②の首のケア10秒。深呼吸をセットに
  • 週に1回:口の開き(指何本分)をチェックして変化を確認

こんなときは受診を

あごの症状は、歯科・口腔外科が専門です。

次のような場合は、セルフケアより先に医療機関へ。

  • 口が指2本分以下しか開かない、開けると強い痛み
  • あごの音に加えて痛みが増している、噛むと痛い
  • 歯が欠けた・しみる・強い歯の痛みがある
  • 頭痛やめまいが強く、日常生活に支障がある

よくある質問

歯ぎしり・食いしばりは自分で治せますか?
無意識のクセなので完全に止めるのは難しいですが、あごの奥の筋肉をゆるめることで、こわばりや口の開きにくさをやわらげられます。まずは10秒のセルフケアを続けてみてください。
1日に何回やればいいですか?
回数の決まりはありません。①は日中あごがこわばったと感じたとき、②は寝る前などに、気づいたときに気軽に行うのがおすすめです。
マウスピースとどう違いますか?
マウスピースは歯を守る対処で、原因の筋肉には働きかけません。このセルフケアは、こわばった筋肉そのものをゆるめることを目的にしています(併用も可能です)。
強く押しても大丈夫ですか?
強く押す必要はありません。痛みが出るほどの力は逆効果です。“痛気持ちいい”手前のやさしい力で行ってください。
どのくらいで変化を感じられますか?
個人差がありますが、まずは2週間、朝晩と気づいたときに続けてみてください。朝のあごの疲れ具合が目安になります。
子どもの歯ぎしりも同じケアでいいですか?
子どもの歯ぎしりは成長の過程でよく見られ、多くは心配いらないとされています。気になる場合は小児歯科にご相談ください。
朝と夜、どちらにやるのが効果的ですか?
朝はこわばりのリセットに、夜は睡眠中の食いしばり対策に。それぞれ目的が違うので、両方行うのが理想です。

もっと知りたい・相談したい方へ

その場のケアは動画で、根本の改善は治療院で。

※本記事は健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。効果には個人差があります。しびれ・強い痛み・長引く症状がある場合は、医療機関にご相談ください。