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LOW BACK PAIN & ADHESION

腰痛と癒着は関係ある?
筋膜の滑りと痛みの考え方

「腰を揉むと楽になるけれど、また戻る」「検査では大きな異常がないと言われた」。そんなときに気になるのが、腰痛と筋膜の癒着の関係ではないでしょうか。筋膜の動きと慢性腰痛の関連を調べた研究はありますが、腰痛の原因をすべて癒着で説明できるわけではありません。[1][2]ここでは、研究で分かっていることと、六層連動操法で重視する見方を整理します。

編集:六層連動操法 事務局
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この記事のポイント
  • 筋膜の滑りと腰痛の関連は研究されていますが、関連があることと原因の確定は別です。
  • 「筋膜の癒着」と「術後のお腹の癒着」を同じものとして扱わないことが大切です。
  • 六層連動操法では、腰だけでなく全身の動きと、施術前後の変化を確認します。

腰痛と癒着の関係をどう考える?

腰痛の背景は一つではありません。WHOは、特定の病気や構造上の問題では説明できない「非特異的腰痛」が多いとしています。一方で、骨折や病気などに伴う腰痛もあり、まず状態に合った評価が必要です。[2]

筋膜の滑りにくさは、腰痛を考える際の一つの視点です。ただし、腰が硬い、前屈しにくい、痛みが長引くという情報だけで、癒着があるとは判断できません。「筋膜に注目すること」と「原因を癒着と断定すること」を分けて考えましょう。

筋膜の滑りを調べた研究

2011年の研究では、慢性腰痛のある71人と腰痛のない50人、計121人の腰部筋膜を超音波で調べました。慢性腰痛のある群では、体を曲げる際の筋膜の層間のずれが、腰痛のない群より小さいと報告されています。[1]

研究で観察されたこと

腰痛のある群とない群で、腰部筋膜の動きに違いがみられました。

この研究だけでは分からないこと

滑りの低下が腰痛を起こしたのか、動き方や筋活動の変化が関係するのかは確定できません。

施術を考えるときの注意

六層連動操法の効果や、手技で癒着を剥がせるかを検証した試験ではありません。

研究結果を読むときは、観察された変化その変化が起きる仕組みの説明を分けることが重要です。筋膜に着目する根拠の一つにはなりますが、個人の腰痛の原因をそのまま決めるものではありません。

筋膜と手術後のお腹の癒着の違い

筋膜・ファシアの癒着

ファシアの説明では、組織同士の付着や、伸び・滑りの低下に関わる言葉として「癒着」「凝集」「高密度化」が使われます。日本整形内科学研究会は、これらの言葉自体には強弱まで含まれないと説明しています。[3]

腹部手術後などに起こる癒着

腹腔内の癒着は、臓器同士や臓器と腹壁の間に、傷あとに似た組織ができて付着する状態です。症状がない場合もありますが、腸閉塞などにつながる場合もあり、医療機関での判断が必要です。[4]

「手術を受けたことがある=今の腰痛の原因が内臓の癒着」とは言えません。また、ここで紹介した筋膜の研究は、手でお腹を押して腹腔内の癒着を剥がせると証明したものではありません。術後の症状はまず主治医にご相談ください。

六層連動操法の用語や図解による説明は、既存の「癒着と痛みの考え方」をご覧ください。本記事では、腰痛との関係に焦点を絞って解説しています。

検査で異常がない腰痛・揉んでも戻る腰痛

画像検査で原因が特定できなくても、痛みがないという意味ではありません。同時に、「画像に写らないから癒着に違いない」とも言えません。症状の経過や動作、足のしびれなどの情報と合わせて考える必要があります。

マッサージのあとに楽になっても、また痛むことがあります。その経過だけで「深い癒着が残っている」と結論づけず、活動量や生活上の負担、治療・運動の組み合わせも含めて見直します。WHOは腰痛のケアに、身体活動だけでなく生活や心理・社会面も含めた評価を挙げています。[2]

相談前に整理しておくと役立つこと
  • いつから、どの場所が痛むか
  • 座る・立つ・歩くなど、困っている具体的な動作
  • 痛みやしびれが脚へ広がるか
  • 手術・けが・通院の経過、医師からの運動制限

六層連動操法が確認すること

六層連動操法は、皮膚側から骨膜側までの深さと、全身のつながりに着目する手技です。腰痛のある方でも腰だけに限らず、股関節・胸郭などの動きを確認し、施術の前後を比較します。開発の背景は沖倉国悦のプロフィールで紹介しています。

  1. 動きを確認困っている動作と痛みの出方を整理する
  2. 施術を調整力と範囲を調整し、無理に進めない
  3. 前後を比較動き・痛みの変化を確認して方針を見直す

当サイトでは組織の滑りにくさや引きつれを「癒着」と表現して説明することがありますが、これは独自の臨床上の見方を含みます。動作の変化は、その場で確認できた結果であり、癒着の消失を証明するものではありません。

腰だけでなく、全身の動きを確認した症例

長く続く腰痛と膝・股関節の痛みに悩んだ方の記録では、前後屈や胸郭・股関節の動きを確認し、施術前後の立位や階段動作を比較しています。

腰痛・膝痛の症例:問診と動作の変化を見る →

個別の施術記録です。全員への効果や特定の原因を証明するものではなく、変化には個人差があります。

セルフケアと日常で気をつけること

医師から運動制限がなければ、無理のない範囲で日常の活動を保つことが基本です。運動で痛みが増す場合は中止して相談してください。長い時間寝たままにすることは勧められていません。[5]

英国NICEの腰痛診療指針では、手技療法を検討する場合も、運動を含むケアの一部として位置づけています。これは六層連動操法そのものを推奨した指針ではありません。[6]

当サイトの腰痛のセルフケア動画・解説は、動きの参考としてご覧ください。「自分で癒着を剥がす」ことを目標に強く押したり、痛みを我慢したりしないでください。術後・治療中は主治医の指示が優先です。

先に受診したい症状

救急受診を優先する症状

腰痛とともに、急に尿が出にくくなった・尿や便が漏れる、股の間や肛門周囲の感覚が鈍い、両脚の力が入らないなどの症状がある場合は、施術やセルフケアをせず、すぐに救急医療機関へ連絡してください。重大な事故のあとの腰痛も同様です。[5]

発熱や全身の不調を伴う、急に強く痛む・急速に悪化する場合も、早急に医療機関へ相談してください。数週間たっても改善しない、生活に支障がある、理由のない体重減少や夜間の痛みがある場合も受診が必要です。[5]

強い腹痛や嘔吐、お腹の張り、便やガスが出ない症状があるときも、腰や筋膜の問題と自己判断せず、速やかに医療機関へ相談してください。[4]

腰痛と癒着についてよくある質問

腰痛が長引くのは、癒着が原因ですか?

長引くことだけで癒着が原因とは判断できません。筋膜の動きに着目した研究はありますが、腰痛にはさまざまな背景があります。症状の経過、動作、神経症状などを合わせて評価する必要があります。

MRIで異常がなければ、筋膜の癒着ですか?

いいえ。「画像で原因が特定できないこと」と「筋膜の癒着が確認されたこと」は別です。痛みが続く場合や症状が変わった場合は、検査結果だけで自己判断せず医療機関で相談してください。

マッサージで楽になれば、癒着が剥がれたのですか?

楽になったことだけでは、組織が物理的に剥がれたとは確認できません。施術前後の動きや痛みの変化と、変化が起きた仕組みの説明を分けて考えます。

腰痛のセルフケアは続けてもよいですか?

医師から運動制限がなければ、無理のない活動を保つことが基本です。ただし、運動で痛みやしびれが強くなる場合は中止して相談してください。術後や治療中は主治医の指示を優先します。

現在、沖倉国悦本人による新規の施術予約は受け付けておりません。認定施術者の情報は全国の認定治療院一覧をご覧ください。

参考文献・編集方針

  1. Langevin HM, et al. Reduced thoracolumbar fascia shear strain in human chronic low back pain. BMC Musculoskelet Disord. 2011;12:203. DOI: 10.1186/1471-2474-12-203.
  2. WHO「Low back pain」(2023年6月19日)。腰痛の分類とケアの基本。
  3. 日本整形内科学研究会「ファシアの凝集・癒着・高密度化」(2022年8月17日更新)。
  4. NIDDK「Abdominal Adhesions」(2019年6月レビュー)。腹腔内の癒着についての医療情報。
  5. NHS「Back pain」(2026年3月5日レビュー)。受診の目安と活動時の注意。
  6. NICE NG59「Low back pain and sciatica in over 16s」:手技療法の推奨事項1.2.7
この記事について

六層連動操法事務局が公的医療情報・学会資料・研究論文を参照し、一般的な知見と六層連動操法独自の考え方を分けて編集しています(参照日:2026年9月8日)。本記事に独立した医師の医学監修があることを示すものではありません。

健康情報の提供を目的としており、個別の診断・治療に代わるものではありません。内容の訂正・お問い合わせはお問い合わせページへお寄せください。