どのくらいの頻度で足がつってしまうんですか?
ほぼ毎日です。もう、トイレにも行けないくらいで。しばらくそこにいて、収まるのを待ってからじゃないと動けないんです。
工場勤務をされている女性。足がつる症状は20年以上続き、右の股関節・右肩の痛み、そして両側の腰痛を抱えていました。この日も朝から股関節が痛く、「今日、来られるかどうか」と、来院前に電話でキャンセルしようか迷ったほどだったといいます。
夜寝ている最中に起きることもあれば、朝、起きようとして体をこう曲げた瞬間につってしまうこともあります。この格好をすると、今もつりそうになります。
それは辛いですね。年中しょっちゅう、毎日のようにあるということですね。朝、腰が辛いというのも詳しく聞かせてください。
寝ている間はまだ背中が伸びているんです。でも起きてトイレへ行こうとすると、これ以上は伸びない、という感じで。体が伸びなくて、その時に股関節がやっぱり痛みます。
足がつるのは、ふくらはぎなど足の裏側だけではありません。歩くとき、車から降りるときにも股関節が痛み、この日は「本当にここに来られない」と思うほどでした。趣味だったジョギングは走ることそのものが辛くなり、階段も「下りはいいが、上がるのがとてもきつい」状態でした。
立ち姿勢を確認すると、お腹が前へ突き出し、鼠径部に強い緊張が走る反り腰でした。背中は後ろへ湾曲し、脊柱起立筋がガチガチに固まっています。背骨がゴツゴツと浮き出て見えるほどでした。まっすぐ立とうとしても立てず、胸を張ろうと手で介助しても、途中でロックがかかったように止まってしまいます。
お腹をへこませてみましょう。……そうすると今度は上半身が前へ倒れて、お尻が下がり、猫背になってしまいますね。お尻を前に出すと胸は伸びるけれど反り腰になる。引っ込めると猫背になる。まっすぐの姿勢がまだ取れない状態です。
まっすぐ立てないんです。自分でも姿勢が悪いのは自覚していて、もう鏡は見たくないくらいで。
体を後ろへ反らせると、腰の前弯が作られる途中で骨同士がぶつかるように引っかかります。背骨の変形に加え、腸腰筋の突っ張りがそれ以上の動きを止めていました。この前側の引っ張りが、体を前へ前へと倒す原因にもなっています。
筋肉のつながりに、バックラインというものがあります。頭の先から背中を通り、足の裏側まで全部つながっている。足の裏側がつる原因は、ほとんどがこの脊柱起立筋が張っているときなんです。今の姿勢を見ると背中がかなり後ろに湾曲して、脊柱起立筋がガチガチに固まっています。だから足だけをいくら揉みほぐしても、つりは治らないんですよ。
足がつるのに、原因が背中にあるんですね。
はい。背中側のバックライン全体の滑走性を出してあげると、足は楽になります。しかも、つりは前側からも来ています。胸が落ち込んで前側の筋肉が突っ張ると、フロントライン、あるいはディープフロントラインという足の前側を通る筋肉が前脛骨筋を張らせてしまう。だから前と後ろ、どちらも取ってあげないと、足のつりは治ってこないんです。もちろん腰もしっかり取っていきましょう。
まず、内転筋から胸椎へつながって固まっている部分を先に取ります。続いて外側へ。ここは足のつりに直接関わる筋肉で、お腹の方からつながっていました。さらに股関節の奥、その後ろのより深い層、横隔膜を貫通したあたりで強く固まっている部分へと進めていきます。
なんだか伸びてきた感じがあります。ガチガチ感が抜けていく感じが……。下腹部の詰まりも、なくなりましたよね。
つりは、ミネラル不足だといろいろ言われますよね。もちろん一時的にはそれもあります。でも、ミネラル不足だからつるのではなく、その前に筋肉が攣縮しやすい状態になっているんです。マグネシウムは筋肉を柔らかくする性質がありますが、その前に、筋肉がつりやすくなる張りや癒着を剥がしておけば、たとえミネラル不足でもつらなくなる。逆に、いくらミネラルを取っても、つる人はつってしまうんです。
夏も冬も関係なく、水分もなるべく取るようにしているんですけど、変わらなくて。
全然関係ないんですよ。片側を取り終えたので、一度反対を向いて比べてみてください。
なんか、自分の足じゃないみたい。むちゃくちゃ軽い。突っ張り感がないですよね、全然。片方はまだガチガチなのに、こっちは全然違います。
残った側も整え、立って全身を確認します。突き出していたお腹が引っ込み、浮き出ていた背骨のゴツゴツが目立たなくなりました。膝も伸び、先ほどは取れなかった「反り腰にならずに胸を張る」姿勢ができるようになっています。
姿勢が全然違う。自分でも分かります。ここの突っ張りがすごく抜けてる。嘘みたいって思うくらい全然違う。こんな気持ちになったこと、ないですよ。
では、さっきつりそうになった格好をもう一度してみてください。
お腹に力が入る……全然楽勝です。さっきはつりそうだったのに。
つるのは寝ているとき以外でもありますか?
足を曲げて、こういう格好をすると、この辺がつっちゃうんです。今も、つりそうになっています。
危ないですね。姿勢を見てみましょう。これは反り腰の姿勢で、お腹を突き出して鼠径部にすごく緊張が走っています。前側の筋肉を緩めても、この姿勢のままではまた張ってきて同じことになります。この姿勢をやめないと、前側の鼠径部の痛みは治らないんです。
まっすぐ立とうとしても立てないんです。背中を見られるのも、鏡を見るのも嫌で。
背中を見てみましょう。背骨がかなり浮き出て、変形して見えますね。これがどのくらい改善するか、姿勢がどこまで変わるかを見ていきましょう。今は胸を張ろうと私が手で介助しても、ここでロックがかかって、これ以上いかない状態です。
趣味はジョギングでした。でも今は走るのも、腕や脚を上げるのも辛くて。階段も、下りはいいんですけど、上がるのがめちゃくちゃきついです。
後ろへ少し反らせていきますね。……ここで引っかかります。腰の前弯を作ろうとしても、背骨の変形と腸腰筋の突っ張りでガツッと止まってしまう。この前側の引っ張りが、体を前へ倒してしまうんです。まずは内転筋から胸椎へつながって固まっている、こちらを先に取りましょう。
奥の方が、どんどん伸びてくる感じがします。
ここは膜なんですけれど、横隔膜を貫通したあたりですごく固まっています。もう一度ここを抜きますね。
下腹部の詰まりが、なくなりました。最初に足をこうやっていた時より、ずっと楽です。
では反対を向いて、左右を比べてみてください。
自分の足じゃないみたい。むちゃくちゃ軽い。突っ張り感がない。片方はまだガチガチなのに、こっちだけ変な感じ。ここ、触ってもらっているところ、昔からずっと痛いんです。なんかあるんですよ、そこに。
左側にすごい強敵がいましたね。反対側も同じように取っていきましょう。
姿勢が全然違う。自分でも分かります。膝も伸びるし、突っ張りが抜けてる。お腹を突き出していたのが、今は全然ないですよね。背骨のゴツゴツもなくなって。
お腹をへこませると胸が落ちていたのが、今はこの姿勢のまま胸を張れますよね。さっきは取れなかった姿勢です。
全然違う。嘘みたいって思うくらい。ここから上が伸びている感じがして、超まっすぐになった。自分でもすごく気持ちいいです。最近つりそうになった格好をしても、お腹に力が入って全然楽勝です。
来た時よりも軽くなっていますか?
全然違います。重さを感じない。ここの痛かったのも、何もなかったことのように消えています。ずっと痛かったここも、来る時に痛かったここも、全然ないです。
今までいろんなところに行って、写真を見て多少良くなると言われても、自分では全く納得できなかったんです。でも今は、自分で分かります。こういう感じだったんだ、みんな普通にしている人は、って。もうこうなってから14〜15年、ちょっと立っているとここが痛いのが苦しかった。立っているのは結構好きだったのに。今はすごく楽です。寝ていなくても、つりそうな感じがもうしないんです。
毎日 足がつる・腰痛という悩みを抱えた方の症例です。普通の人と同じ感覚になれて感動!という生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。
六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。
六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。