具体的に、いつ頃からどんな症状が出たのか教えていただけますか。
7年前ですね。首がガチンとなって、びっくりした後に立てなくなったんです。立とうと思っても立てなくて、根性で立ちましたけど、あんなのは初めてでした。そのあと何日かして今度は腰がビンとなって、また立てなくなって。それからずっと来ている感じです。
首の異変から始まり、数日のうちに腰まで崩れ、以来7年ものあいだ痛みと付き合ってきた松下さん。「何かないのか」と探し続けてこの施術にたどり着きました。これまで受けた施術では、思うように良くならなかったといいます。
なんというか、体幹に力を入れると、身体がガッと固まっちゃうんです。動きにくくなる感じですね。
腰でいうと、痛みはどのあたりに出ますか。少し後ろを向いていただけますか。
骨盤と、背骨の真ん中ぐらい。あとは右の方ですね。肩も両方痛くて、右のこのあたり、両方とも同じような場所です。手のひらの中も、横のほうもです。股関節は右側が何かおかしくて、根っこの部分が取れない、そんな感じがあります。
首・腰・肩・手のひら・股関節と、訴えは全身に及びます。とくに股関節は「根っこが取れない」という深いところの違和感でした。
では今から評価をさせていただきますね。まず脚の裏側から見ていきます。
腰の真ん中がおかしいのと、脚の内側ですね。とくに悪いのは内側で、背骨の後ろ側もいま悪くなっています。おそらくここが一番でしょう。肩の下側も、この動きに制限が出ています。
痛みを訴える箇所を直接ほぐすのではなく、脚の裏側から体を触り分け、「どこが一番の出発点か」を先に見極めていきます。腰の真ん中、脚の内側、背骨の後ろ側——沖倉先生はここを施術の起点と見立てました。
胸郭の前側の硬さと、首から肩にかけての筋肉の張りがあります。ここが固まっているから、それが脚のほうにまで出ているんです。抜いていきますね。
不思議な感じです。何かが抜けていく感じがします。
私の手にも、どんどん変化しているのが伝わってきます。いっぱい施術を受けてこられたから、感覚がよく分かっていらっしゃいますね。
離れた場所——胸郭の前側や首まわりの硬さが、脚の内側の突っ張りとつながっている。その連動をたどって緩めていくと、松下さんは自分の身体の中で「何かが抜けていく」感覚をはっきり感じ取っていました。
いま抜けたので、足の指の、さっきの突っ張り感はどうですか。
なくなってますね。ご自身で確かめても、さっきの制限がなくなりました。全然違います。
そのまま肩のほうもやっていきましょう。腕をこちら側に回していってもらえますか。
このあたりで制限がすごく強いです。肩甲骨が動いていなくて、自分で動かせないのが分かります。ここが動作的に一番辛いんです。
何が引っかかっているのかを探っていきます。ここです、この位置。だんだん取れてきて……よいしょ、抜けてきましたね。私の感覚を感じながらやっているので、同じタイミングで教えてください。
もう一回……変なブレーキがないです。ブレーキがなくなりました。
これで肩甲骨が動き出しましたね。こちら側も動き出して、癒着の部分もいま取れました。脚の内側の癒着も取れたんですが、後ろにまだ何かあるので、これも取っていきます。足や股関節に痛みがあっても、そこが原因じゃないことが結構多いんです。
急に抜けましたね。さっきの硬いのがないです。軽いです。
痛む股関節や脚そのものではなく、そこへ引っ張りをかけている肩甲骨まわりの「ブレーキ」と、脚の奥に残った癒着を順にほどいていきます。片側を終えたところで、右半身だけが際立って軽くなりました。
右が軽すぎますね。左はまだやっていない側です。これから左側をやっていきます。
右と左で全然違う。笑えるぐらいです。
左も、脚で見るとやっぱり内側ですね。ディープフロントラインという、胸郭の中身につながるルートがおかしいんです。ここが一番で、右側も少なからず同じでした。腰のほうもここを探し当てて施術していきます。後ろのラインにも、どこか下に癒着があります。
左右いずれも、脚の内側から胸郭の奥へと伸びる「ディープフロントライン」が要でした。松下さんが「気になっていた」と言う箇所を、沖倉先生は触れる前から次々と言い当てていきます。
腕のほうも見ていくと、この筋肉が一番おかしいです。すごく気になっているところじゃないですか。
そうなんです、ずっと気になっているところです。何も言っていないのに、全部当たっているんですよ。
触ると分かるんですよね。骨盤の中身から、前側の硬いところを抜いています。仙骨の前の硬さは、後ろからいくら押し付けても届かない領域なんです。
体は全身につながっているので、腰が痛くなれば肩も膝も痛くなる。連動しているんです。どこかで体調が悪くなった瞬間、他のところも悪くなる。首も肩も痛くなる。……やっと抜けましたね。
うわ、面白い。自分の体がどうなったのか分かります。
最後は動いていなかった肩甲骨です。骨がほとんど動かないため、テコを使って肩甲骨を内側から引き出していきます。強い力に見えても、実際は中身からゆっくり抜いていく施術です。
肩の骨が全然動いていないので、テコを使って肩甲骨から引き出してきます。いま楽になっていますか。
楽になっています。肩が良くなったので、すごくいいです。抜けた瞬間、全部分かります。
では立っていただきますね。腰の調子はどんな感じですか。
楽ですね。来た時とは全然違います。
一番の原因は、内転筋から胸郭の中身につながるディープフロントラインでした。肩のほうは、背骨の部分が影響していたのと、左右に癒着が少しありました。
癒着と言われているところを触られると、ズルズルズルッと抜けていくのが分かるんです。他の治療院ではそんなこと一度もなかったので、本当にすごいです。
すぐ戻ってしまったら意味がないので、このまま続けて、癒着が取れた効果を見ていければと思います。
松下さん、お久しぶりです。あれから1ヶ月経って、施術の前後でどんな変化があったか教えていただけますか。
治療してもらったところは、まったく問題ないですね。前は体中どこを動かしても痛い状態だったのが、それがないから楽です。
それを聞いてホッとしました。戻りにくいというのは本当なんだなと思いました。
あれから釣りにも行きました。正月に。今までは痛みとバランスの悪さで、小さいテトラに乗るのも怖かったんですよ。バランスが良くないとグラグラしちゃうので。でも正月にちょっと遊びで乗ってみたら、乗れるんです。全然違うなという感じで、バランスも変わるぐらい。そこで動いても、それほど怖くないというか。
それはありがたいですね。ありがとうございます。
首・腰痛という悩みを抱えた方の症例です。140万費やしても治らなかった不調という生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。
六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。
六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。