いろんな症状があるとのことですが、今回いちばんつらいのはどこですか。
最初は肩甲骨のこの内側、右も左も両方です。そこから首や腰、右肩にも痛みが出てきて、朝起きるとどこかが痛いんです。
17年前、12分間にわたって心臓が止まり、奇跡的に生還した方です。「これを入れなければ退院できない」と言われ、心臓にICD(植込み型除細動器)を入れて暮らしてきました。原因は今も分からないままだといいます。あちこちの施術院にも通いましたが、改善が見られなくなってやめてしまい、最近はブロック注射でその場をしのいでいました。
いま、日常でいちばん困っていることは何ですか。
痛みが耐えられなくなると、頭がクラクラしたり、気分が悪くなったりします。仕事もだんだん辛くなってきました。
ICDが一度だけ作動したときのことも、大きく尾を引いていました。命を守る機器だと分かってはいても、あの衝撃を思い出すと身体が身構えてしまうといいます。
除細動器が作動したことは。
4年前に一度だけ。ハンマーで叩かれたような感触で、身体が浮いてひっくり返り、尻もちをつきました。「入れているから生きていられる、安心だよ」と言われますが、それ以来かえって怖くなってしまって。
首の回旋、側屈、前屈を一つずつ確認していきます。回すこと自体は大丈夫でしたが、側屈を深くしていくと肩から首の付け根までが強く痛み、左右どちらも同じでした。
首を横に倒すと、肩甲骨が引っ張り上げられる感じで痛いです。回している途中では、腰が痛くなって、そのまま右の肩まで痛くなってきました。
前に倒すのはどうですか。
前屈は、痛みはそんなにないです。
沖倉先生が着目したのは、痛む肩や肩甲骨そのものではなく、鎖骨の下から胸の前にかけての深いこわばりでした。
肩関節というのは、肩甲骨と上腕の間のことをいいます。ここが五十肩だと言われる人は多いですが、必ずしもそこが悪いわけではないんです。実際、肩はスカスカで、何もありません。原因はこちらから来ています。
そんなふうに言われたのは初めてです。
鎖骨の下、この辺りから心臓の方へつながっています。肋骨や胸骨と背骨の間、その前側が今とても硬い。鎖骨の方から固まっていて、左より右寄りに強いので、右肩に痛みが出ています。首筋のここも固まっていて、そこから胸に来てチクチクします。ラインで言うと身体の前側、フロントの深いところですね。
除細動器のちょうど後ろ側にも、固まった部分がありました。以前に受けた筋膜リリースでは実感が得られずやめてしまったという話にも、沖倉先生はこう答えます。
一般的な筋膜リリースは、腕などで表面から緩めるので、奥の中身までは狙いにくいんです。私のやり方は、中身を立体的にとらえて、その奥にある癒着を剥がしていくのが中心になります。それが六層です。
機器そのものには触れず、その周囲でこわばった組織を、六層に沿って奥から緩めていきます。鎖骨・胸の前から、首、肩甲骨、喉、目の周りへとつながる硬さを一つずつたどっていきました。
六層で吸って緩めていきますね。これでだいぶ楽になっているはずです。
あれ、腕が全然違う。この動きをすると突っ張ってしょうがなかったのに、全くないです。……わっ、抜けちゃった(笑)。伸ばして動かすとダメだったのが、ほとんど大丈夫です。前は必ず痛みが出ていたのに、出ません。
胸が伸びるようになって、重りがなくなった感じがします。特に肩が。先生のYouTubeを見て自分でもやっていたんですが、開いていくときにここでギブアップだったのが、今はもう最後まで行っちゃいます。
施術前に痛みが出ていた動きを、もう一度確認します。首の側屈、回旋、後ろ向き、前屈、首だけを前に倒す動き——どれも滑らかに動き、痛みは出ませんでした。
全然違います。さっきは痛そうだった側屈も、痛みが全然ない。喉の突っ張りもなくなりました。
目の方はどうですか。
目も、今は明るいです。今まで誰にも言い当ててもらえなかった場所を、全部言い当ててもらって……まさか見えているのかと思いました(笑)。
まあ、予想通りといえば予想通りなんです。鎖骨のところから首の裏側まで来ますし、喉の奥から目の方まで来る。そこで肩の前側が詰まるような感覚や痛みが起こる。あなたの症状と、言っていることがちゃんと一致していたので、お話を聞いた時点で、もうそこしかないなと。
最初に痛みが出たのは、肩甲骨の内側でしたか。
はい。右も左も、両方の肩甲骨の内側からでした。そこから首や腰、右肩にも広がって、朝起きるとどこかしら痛いんです。
これまで、どんなことを試してこられましたか。
いくつか通いましたが、だんだん改善が見られなくなってやめてしまいました。最近は根本が分からなくなって、ブロック注射でその場をしのいでいます。筋膜リリースも一件だけ行きましたが、治る実感がなくてやめました。
17年前に、心臓が12分止まったと伺いました。
奇跡的に生き残ったそうで、「これを入れなければ退院できない」と言われて除細動器を入れました。心臓が動いていない間も、機械が脳に血を送り続けてくれていたらしくて。処置の前には体温を下げる必要があって、いったん血を出して冷やして戻したとも聞きました。原因は今も分かっていません。
その機器が、一度だけ作動したんですね。
4年前です。ハンマーで叩かれたような衝撃で、身体が浮いてひっくり返って、尻もちをつきました。安心のための機械だと頭では分かっていても、それ以来かえって怖くなってしまって。
首を回してみましょう。……側屈をもう少し増やします。どこが痛みますか。
肩から首の付け根まで、両方痛いです。回している最中には腰が痛くなって、そのまま右肩まで痛くなってきました。横に倒すと、肩甲骨が引っ張り上げられる感じです。
痛む肩ではなく、鎖骨の下から胸の前を整えます。ここが硬くて、右寄りに固まっているので、右肩と肩甲骨を外から引っ張っているんです。除細動器のちょうど後ろ側にも、こわばった部分があります。
胸の前を触れているのに、背中の肩甲骨の方が緩んでいくのが分かります。
六層で奥から緩めていきますね。腕を動かしてみてください。
全然違います。突っ張ってしょうがなかったのに、抜けたみたいに軽い。伸ばして動かしても、いつも出ていた痛みが出ません。胸も伸びて、重りが取れた感じです。
では、痛かった動きをもう一度。側屈、回旋、後ろ向き、前屈、首を前に倒す——どうですか。
どれも痛くないです。喉の突っ張りもないし、目まで明るくなりました。今まで言い当ててもらえなかったところを全部見つけてもらえて、本当に来てよかったです。
肩甲骨・首・腰は、別々の痛みに見えて、鎖骨と胸の前で一つにつながっていました。今日戻った動きを、大阪への帰りも無理をせず、ゆっくり体になじませてください。
はい。これで、もうちょっと頑張れそうです。
心停止後の全身痛という悩みを抱えた方の症例です。12分間の心停止を経験し、肩甲骨・首・腰の痛みに悩む方という生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。
六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。
六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。
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