小さい頃から股関節が痛くて、正座やあぐらができなかったんですね。どのくらい曲げられますか?
本当にもう、曲げられないくらいで……。正座もあぐらもできないし、開脚も全然できません。足も開かないんです。
バスケットボール部に所属する高校2年生。生まれつきのように股関節が硬く、本人にとっては「これが普通」でした。周りとの違いに気づいたのは中学の修学旅行。座禅で「どうやって脚を組むの?」と友達に聞かれて、初めて自分だけできないと知ったそうです。
今、硬くて困っていることって何かありますか?
ラーメンとか食べに行くんですけど、座敷に座れなくて。前かがみになって、こうやって食べる感じになっちゃいます。
ストレッチは毎日のように試してきましたが、やっても1日2日で元に戻ってしまう。硬さが一向に抜けない状態が、幼い頃からずっと続いていました。
まず前屈をしてもらうと、腰の下部がすっかり固まっていて、上体がほとんど前へ倒れません。続いて開脚を確認しても、脚がわずかしか開かない状態です。沖倉先生が下腹部を触れると、本人が「痛くも硬くも感じない」場所が、触れた手には普通ではない硬さとして伝わってきました。
ここ、めちゃくちゃ硬いですよね。普通じゃないくらい。ご自分では硬いって分かりますか?
分からないです。痛くなったりもしないので……。
元々アトピーやアレルギー体質だと、お腹の中が硬くなりやすいんです。この股関節の硬さも、腹部の中の硬さが原因になっていると見ています。
沖倉先生の見立ては、股関節そのものより「お腹の中の癒着」でした。慢性的に硬い人ほど、体のどこかに癒着が絡んでいる。ここでは大腸を中心に、S状結腸や肝臓周辺の膜まで硬さが広がっていて、それが前から脚を引き止め、股関節を開かなくしていると考えます。だからストレッチが効かない、という説明が続きます。
ストレッチって、正直この場合は意味がないんですよ。原因がお腹の癒着にあると、筋肉を全体で伸ばしても、こっちに引っ張られてすぐ戻ってしまうので。
じゃあ、いくらやっても戻っちゃってたのは、そういうことなんですね。
脚を強く伸ばすのではなく、下腹部から骨盤、背骨、肋骨の裏へつながる硬さを丁寧にゆるめていきます。しばらくして、脚の上がり方から確認します。
足の上がり方、だいぶ変わってるはずです。ちょっと自分で上げてみてください。
すごい……全然違う。かなり上がるようになってます。
さっきのお腹、もう1回触ってみてください。硬さが抜けたでしょう? これが普通のお腹なんですよ。
あ、違う……ふわふわだ。全然違います。すごい。
改めて座り方を試すと、正座ができ、開脚もそれまでよりずっと開きます。あぐらでは背中が前に来て、上体を起こしやすくなりました。本人がいちばん辛いと話していた正座も、さっきより無理なく座れています。最後の前屈も深くなり、体が軽くなった、と本人。触って確かめたお母さまも、普段とは別物のようなお腹の柔らかさに驚いていました。
正座できる……すごい。体もなんか軽くなりました。
股関節の硬さは、いつ頃から感じていましたか?
小さい頃からです。もう昔から、本当に曲げられないくらいで。自分ではこれが普通だと思っていました。
周りと違うと気づいたのは、いつだったんですか?
中学の修学旅行の座禅です。「どうやって脚を組むの?」って聞かれて、初めて、あれ?って。やってみせたら「どんだけ硬いの」って言われて、正座もあぐらもできないし、なんなら足も開かないって。
日常で困るのは、どんな場面ですか?
ラーメン屋さんとかで座敷に座れないんです。前かがみになって食べる感じで。ストレッチもやってるんですけど、1日2日で戻っちゃって。
そのストレッチが、実は意味がないんです。原因がお腹の癒着にある場合、筋肉全体を伸ばしても、こっちに引っ張られて戻ってしまう。癒着はストレッチでは外れないので、外れないうちは筋肉がずっと収縮し続けるんですよ。
じゃあ、どういう時ならストレッチは効くんですか?
癒着を取ったあとならいいですよ。慢性的に硬い人は、たいてい普通じゃないくらい癒着があるんです。あなたの場合、大腸を中心に、S状結腸や肝臓のまわりの膜まで硬くなっている。肝臓が悪いわけじゃなくて、膜全体が硬い。だから腸内環境を良くした方がいいんです。
アトピーと、股関節が関係あるなんて思ってもみませんでした。
アトピー体質の人は、食事にアレルギー反応が出やすい。お腹の中でも炎症が起きやすいんです。それが小さい頃から積み重なった結果が、今の硬さなんですね。だから腸内環境を守るのが一番大事。油ものや加工食品、甘いものは少し気をつけたいところです。
……ラーメン食べたいです(笑)。
まあ、まだ小さいからね(笑)。じゃあお腹をゆるめますね。……はい、足を上げてみてください。
あ、すごい。全然違う。かなり上がります。
お腹ももう一度触ってみて。硬さが抜けたでしょう。これが普通のお腹ですよ。
ふわふわだ……違うのが分かります。あ、正座もできる、開脚も行けるようになってる。背中も前に来てる感じがします。
正座がいちばん辛いって言ってましたけど、さっきより行くようになってますね。最後にお腹の硬いところを自分でゆるめるセルフケアもお伝えしておきます。骨盤の骨の少し上、硬いところに指を当てて、脚を内側外側に動かすんです。そうするとお腹の癒着が剥がれる力に変わっていきます。
できないのが当たり前だと思ってたので、動けるって感覚を知れて、すごくうれしいです。
16歳の股関節制限という悩みを抱えた方の症例です。正座もあぐらもできず、座敷で食事ができなかった高校生という生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。
六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。
六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。
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