今回は、膝の痛みが強いということでいらっしゃいましたね。
3年前に転職して立ち仕事になってから、痛みが加速してしまって。去年の4月に変形性膝関節症という診断を受けました。整形に行ったら、いきなり人工関節と言われるんじゃないかと思って、覚悟していました。
レントゲンでは、膝の外側のクッション(半月板)がもう2mmほどしか残っておらず、ほとんどない状態。もともとは右膝が痛く、我慢したり整体に通ったりするうちに、今度は左膝まで痛むようになっていました。両膝ともかなり腫れ上がっています。
一番困っているのは、朝の起き上がりです。床に寝ているので、起きたら隣のソファに捕まって立つんですが、膝がここで噛み合わなくて。1、2分じっとして噛み合わせてから、やっと歩き出すんです。少し歩くと、引きずりながらですけど、普通に歩けるようにはなります。
左膝は自分で下ろせないんです。手の力で持ち上げないと上がらなくて。曲げると痛いので、いつもこうやって手で支えています。
膝の腫れについて尋ねると、「いつも腫れていると言われます。これでも今日は引いている方なんです」とのこと。日常のちょっとした動作すべてに、膝をかばう緊張が張りついていました。
ここに掴まって、どのくらいまでしゃがめるか、片方ずつ見てみましょう。痛みが出たところで止めてください。
もう出てます。これくらいでもう痛いです。下に座る時は、足を伸ばさないと座れなくて。
少ししゃがんだだけで、無意識に体が力む——防御反応が出るほど、膝は動きを警戒していました。仰向けで足をまっすぐ伸ばしたまま持ち上げてもらうと、膝を曲げれば上がるものの、まっすぐな状態ではきつくて上がりきりません。膝そのものより、脚のつけ根の動きが止まっていることがはっきり見えました。
明らかに股関節がおかしいですね。ここに異常があるので、股関節を取らないと膝関節が伸びてこないんです。今、脚の重心が内側に寄っていますが、これはこの筋肉が原因です。
膝の中は、確かに骨が変形しているので、中を触ってもできることには限界があります。膝の中をやっても、実はあまり良くならないんです。だから、これまで誰も介入してこなかった部分——股関節の周りや骨盤の中——をしっかり取らないと、多分治らないと思います。
痛いのは膝でも、膝を曲げ伸ばしできなくしている本当の原因は、股関節周囲と骨盤の中に潜んだ強い癒着だという見立てです。さらに、いつも痛いという右の肩甲骨まわりの硬さも、この膝の問題と地続きだと沖倉先生は見ていました。
長年積み重なった硬さのため、いつもよりしっかりと股関節まわりの癒着をゆるめていきます。途中、膝の外側にあたる部分へ響きが伝わりました。
あ、なんか今、膝のここに響きました。
取れましたよ、内側。ほら、これで膝が伸びやすくなったの、分かります?
あ、本当だ。楽になりました。
外側の痛みも、だいぶ取れてきたでしょう。
今、ここを触られても痛くないです。普通だったら絶対にこんなことできないのに。
続いて、いつも凝り固まっているという右の肩甲骨・肋骨の上側へ。ここもガチガチにへばりついていました。膝の施術の延長線上で、肩まで一緒にゆるんでいきます。
そこ、いつも痛かったところです。気持ちいい。
肩甲骨の施術をしているようで、実は膝の施術をしているんですよ。取れたので、肩もすっきりして、寝る時も楽になっているはずです。
では、足をまっすぐ伸ばしたまま上げてみてください。
あ、突っかかりがない。余裕で上がります。
しゃがんでみましょうか。
えっ、こんなに曲がる。いつもはこんなに曲がらないのに。
起き上がって歩いてもらうと、先ほどよりも足の運びがスムーズになっていました。
なんだか、普通の歩き方を忘れちゃってました。
長年、歩けていなかったですからね。だいぶ変わりましたよ。
段差のような動作も見てみましょう。怖ければ無理はしないで。
これはちょっと怖い……でも、あ、本当だ。
安全にここまで行けるようになりましたね。棒みたいだった足が、棒じゃなくなってますよ。
下ろせる、下ろせます、こっちの足が。膝に力が入れられる。絶対に上がれなかったのに。
レントゲンを見た感じ、覚えていますか。膝の骨と骨の間に、クッションがどのくらい残っていましたか。
外側はあと2mmくらいと言われました。半月板がほとんどないって。左足も見てもらったら、左は4mmくらいあるそうです。
それで整形に行ったら、と。
いきなり人工関節と言われちゃうかなと思って。とりあえず行ったんですけど、やっぱり人工関節かなと、覚悟していました。
右膝と左膝、痛みの順番はどうでしたか。
最初は右でした。1年間我慢して、2年間は整体に通いながら。でも右がここまでにならないうちに、今度は左がなっちゃって。左は自分で下ろせないんです。
膝の水を抜いたことは。
前に1度だけ、右を抜いたことがあります。3年前に整体・整骨院に行った時にも溜まっていたんですけど、もう抜かない方がいいかなと思って、抜かずにいました。それでも治らないので、行きつけの整体に通い出したんです。
しゃがんでもらうと、掴まった瞬間に力が入りますね。
私が力を入れちゃってるってことですか。
いえ、自然な反応です。無意識のうちに防御反応が出ているんですよ。だから、痛い膝の中ではなく、まず股関節の異常から取っていきます。
膝が悪いのに、股関節や肩甲骨から診るなんて、思ってもみませんでした。
股関節周囲と骨盤の中に強い癒着があって、それが膝の曲げ伸ばしをできなくしていました。もう一つは肩甲骨の周辺、肋骨の上側。ここもしっかりへばりついていたので、取りました。
それは言われると分かります。肩こりも、これで楽になってます。
左側は、骨盤の中の塊が膝の内側の痛みにつながっていました。今回は左側の方が影響が大きかったですね。もちろん右側からの影響もありましたが。
着替えていて分かりました。足が変な感じ——軽いんです。本当にありがとうございました。
ひざ痛という悩みを抱えた方の症例です。階段がつらく、人工関節も覚悟していた方という生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。
六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。
六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。