今、いちばん困っているのはどんなことですか?
夜、しっかり眠れないことです。寝返りのたびに目が覚めて、痛くないようにそっと寝返りを打っています。
2024年から続く股関節の痛みで、しゃがむしかなくなり、仕事を辞めたという女性。加えて、長年ひどい首肩こり、右耳の奥の違和感、右目が涙目になりやすいこと、そして今年に入ってからの顎や歯の痛みにも悩まされていました。股関節症の診断は受けていますが、痛みはそれだけでは説明しきれないほど強いものでした。
歩くこと自体はできても、片足に体重が乗った瞬間に痛みが走ります。ときどき脚から力が抜け、ガクッと崩れそうになる怖さもありました。痛みで仕事が続けられず、しゃがんで作業するしかなくなったこと、そして夜に眠れないことが、日常でいちばんこたえていたそうです。
歩いていて、痛みが出るのはどんな瞬間ですか?
片足になる時です。体重がかかると痛くて、時々スッと力が抜けてしまいます。
立ち上がる動作では、ほぼ立ち上がりきった瞬間に痛みが出ました。仰向けで股関節を開き、足の裏を合わせるように脚を広げてもらうと、左が特につらく、左右差もはっきりしていました。前屈や体幹の回旋も確認すると、脚そのものより背中の硬さが目立ちます。とりわけ肋骨の裏側から背骨にかけてがほとんど動かず、背骨がしなりを失っている状態でした。
仰向けで、足の裏を合わせるように脚を開いてみてください。
左が痛いです。力を入れて支えていないと、しんどくなってきます。
右側はこちら側から引っ張られている感じですね。背中がかなり硬い。肋骨のこのあたり、背骨が動いていません。
レントゲンを確認すると、股関節の変形はまだ保存的にみられる段階で、大きくは進行していませんでした。だからこそ沖倉先生は、これほど激しい脚の痛みが股関節の骨だけから来ているとは考えにくい、と見立てます。原因は体の内側にある——背骨、そして胃や腹部の深い硬さです。
股関節の進行はまだ保存レベルで、そんなに進んでいません。だとすると、この激しい足の痛みが股関節そのものから来ているとは考えにくいんです。体の中から来ている痛みなんだろうと推測できます。
他の整体でも、背骨がまっすぐすぎると言われたことがあります。それが関係しているんですか?
そうなんです。背骨が固まってしならないから、動きに逃がしがない。膜が固まってしまっています。鞭打ちのような症状でよく起こるんですが、竹のようにカチカチで、まっすぐのまま曲がらないんですね。
今年に入って歯や顎まで痛くなったんですが、それも関係あるんでしょうか?
多いですよ。歯茎の方まで筋膜が連続してつながっているので、顔面の痛みと歯の痛みは同じ経路を通っていることが多いんです。
施術は、痛む股関節を直接ほぐすのではなく、固まった背骨と、その前側でつながる腹直筋の中央、そして胃や腎臓のあたりの深い硬さを緩めることから始まりました。背骨の前の筋肉と背骨は一枚につながっており、腹直筋の真ん中が異様に固まっていたのです。しばらくすると、まず肩の軽さが大きく変わってきました。
この背骨の前の筋肉と背骨はつながっているんです。腹直筋の真ん中がすごく固まっていて、これがなかなか取れない。だいぶ変わってきたと思いますよ。
肩がすっごく楽になりました。軽い。
では、今までできなかった動作をやってみてください。
これができる! さっきまでできなかったのに。軽く上がるし、感覚が全然違います。
立ち上がって歩くと、痛みと重さで引きずっていた脚が軽くなり、体が自然と前へ運ばれる感覚に変わりました。左右の回旋、前屈、後屈をあらためて確かめると、どれも施術前の不安感が消えています。腰から折れそうだった前屈も、怖さなくできるようになりました。
足で歩くというより、体が前に出ていく感じです。頭が軽くて、こんなに違うなんて。
怖さはどうですか?
怖くない、全然。早く歩けます。
では左回旋、反対の回旋、前屈と後屈も見ましょう。
不安感がなくなりました。さっきは腰から折れそうだったのに。
股関節の痛みは、いつ頃から続いているんですか?
2024年からです。あわせて首肩こりも長年ひどくて、右耳の奥に常に違和感があり、右目も涙目になりやすいんです。今年は歯や顎まで痛むようになりました。
お仕事はいかがですか?
今はやめました。股関節が痛くて、しゃがむしかなくなってしまって。
昔、大きな事故を起こしたことはありますか?
高校生の時、自転車に乗っていてバイクにタイヤを接触されて、転んで靭帯が伸びたことがあります。右のこのあたりです。今は痛みなく過ごせていますが。
レントゲンを見せていただくと、股関節の進行はまだ保存レベルで、そんなに進んでいません。だからこの激しい足の痛みが股関節から来ているとは考えにくくて、体の中に原因があるはずなんです。
股関節が悪いんだとばかり思っていました。
股関節が悪くないのは骨の問題としてはという意味で、ドクターの話とも一致しています。体が硬いから股関節も痛くなる。背中がひどく固まっていて、まだ手をついた感じが残っていますね。
他の整体でも背骨がまっすぐすぎると言われたのは、そういうことだったんですね。
背骨がしならないんです。膜が固まっていて、竹のようにカチカチのまま曲がらない。鞭打ちのような症状で、これが長年の大きな原因だったと思います。
歯が痛むのも関係あるとは思いませんでした。
筋膜は口の中まで連続しているので、同じ経路を通って顔面や歯茎の痛みにつながります。では背骨、お腹、胃のあたりから緩めていきましょう。
お腹や背中を触られているのに、肩や脚が軽くなっていくのが不思議です。
左の股関節の内側ももちろんおかしかったんですが、大もとは胃のあたりです。背骨が下から全体的に固まって、胃で締めつけられ、左の腎臓や肝臓が固まり、そこから背骨の中を通って右へシフトし、首の後ろから顔までつながっていました。
そこが全ての元だったんですね。意外でした。
お腹の腹直筋の真ん中が硬いのも、背骨が硬いのと同時に起こってきます。深い前側のラインの後ろ側が固まっていたんですね。今日の経過は、また後日報告いただければと思います。
痛みが取れただけじゃなくて、体がちゃんと機能しているとこんなに軽く、スムーズに動くんだと感動しました。本当にありがとうございました。
変形性股関節症という悩みを抱えた方の症例です。あぐらがかけず、寝返りでも目が覚めるほどの痛みという生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。
六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。
六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。
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