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腱鞘炎

腱鞘炎の痛みをゆるめる
セルフケア

親指の付け根や手首がズキッと痛む腱鞘炎。じつは“手だけ”では治りにくく、腕から背中のつながりがカギです。理学療法士がセルフケアを動画で解説します。

解説:六層連動操法 開発者・沖倉国悦(理学療法士)

こんなこと、ありませんか?

  • 親指の付け根・手首を動かすとズキッと痛む
  • 物をつまむ・タオルを絞ると痛い
  • スマホ・パソコン・抱っこで手を使いすぎ
  • サポーターや湿布で様子を見ている
  • なかなか治らない・くり返す

腱鞘炎は“手だけ”では治りにくい

腱鞘炎は、親指側の腱が炎症を起こし、動かすとスムーズに動かず激痛が走る状態。でも、その腱の“膜のライン”は、じつは背中(肩甲骨と背骨の間)までつながっています

手の腱鞘の“膜のライン”は、背中(肩甲骨と背骨の間)までつながっています(動画より)
手の腱鞘の“膜のライン”は、背中(肩甲骨と背骨の間)までつながっています(動画より)

腱鞘炎の方は、この背中側(肩甲骨と背骨の間)がガチガチに張っていて、猫背になっていることが多いもの。だから、手首だけでなく、腕〜背中のつながりをゆるめることが大切です。

腱鞘炎をゆるめるセルフケア

患部そのものと、つながる腕のラインにアプローチします。痛くない範囲で、やさしく行ってください。

1

患部を“ずらして”癒着をはがす5回×数セット

親指を反らせると手首の外側に浮き出る2本の腱をたどり、かたい・痛い所を見つけます。反対の手で、その部分の皮ふを小指側へ軽く巻いてひねり、痛くない範囲で親指を小指方向へゆっくり曲げる——これを5回ほど。皮ふをずらすことで、腱と皮ふの間の癒着に“はがす力”が加わります。

患部の皮ふを小指側へひねりながら、親指を曲げる(癒着をはがす)(動画より)
患部の皮ふを小指側へひねりながら、親指を曲げる(癒着をはがす)(動画より)
2

腕〜背中のラインを伸ばすライン伸ばし

腕を上げていくと、親指から背中(肩甲骨の内側)までの膜のラインが伸びます。つながっている背中側までゆるめると、根本から軽くなりやすくなります。

腕を上げて、親指から背中まで続く膜のラインを伸ばす(動画より)
腕を上げて、親指から背中まで続く膜のラインを伸ばす(動画より)

やるときの注意

無理は禁物。 痛気持ちいい” までにしましょう。

  • 強く引っ張りすぎない・痛みが強いときは中止する
  • 腫れ・熱感が強い急性期は無理をしない
  • 長引く・悪化するときは整形外科へ

強い痛み・しびれ・長引く症状がある場合は、医療機関にご相談ください。

腱鞘炎がなかなか治らない・くり返す方は、腕から背中・全身のつながりから見直すのが近道です。お近くの認定治療院で相談できます。

スマホ・抱っこ・パソコン——腱鞘炎が増えている理由

腱鞘炎は「使いすぎ」で起こりますが、現代はスマホの片手操作・赤ちゃんの抱っこ・マウス操作など、親指と手首に負担が集中する動作だらけです。産後や更年期の女性に多いのは、ホルモンバランスの変化が腱の滑りに影響するためとも言われます。

つまり「手を使わない」のは現実的ではないからこそ、使い方を変えて、つながりからゆるめることが大切になります。

効果を高めるコツ

  • ①のケアはお風呂の中や入浴後に行うと、皮ふがずれやすくなります
  • 痛みが出る角度の手前で止める。深追いしない
  • 作業の合間に②のライン伸ばしを1回はさむだけでも、こわばりの蓄積が変わります
  • ケア後に痛みが増すようなら、その日はお休みしましょう

よくある間違い

炎症のある場所への強い刺激は、治りを遅らせます。

  • 痛いのに手首をぐるぐる回す・強く揉む
  • 「伸ばせば治る」と痛む方向へ無理にストレッチ
  • サポーターで固定したまま一日中まったく動かさない——固定は急性期の保護に、落ち着いたら少しずつ動かします

手首を守る使い方

スマホは両手で持つ、片手のときは小指で支えない。マウス・キーボードは手首をまっすぐに保ち、リストレストを活用。抱っこは手首で支えず、腕全体・体に近づけて抱えると負担が分散します。

肩や背中のこわばりが強い方は、肩こりのセルフケアで上流からゆるめるのも近道です。

1日の取り入れ方(例)

「休ませる時間」と「ゆるめる時間」を分けると回復しやすくなります。

  • :手首を温めてから①の皮ふずらしを5回
  • 作業中:1時間に1回、②の腕〜背中のライン伸ばし。手首はまっすぐに
  • :入浴中に①を。痛みが出る角度の手前で止める
  • 週に1回:物をつまむ・タオルを絞る動作の痛みを10段階で記録

こんなときは受診を

腱鞘炎は放置すると慢性化しやすい症状です。

次のような場合は、セルフケアより先に医療機関へ。

  • 腫れ・熱感が強い、安静にしても痛む
  • 指が引っかかる・伸びない(ばね指の進行)
  • しびれを伴う(手根管症候群などの可能性)
  • 2〜3週間ケアを続けても改善しない・悪化する

よくある質問

サポーターや湿布だけでは治りませんか?
安静や保護は大切ですが、原因が腕〜背中のつながりにある場合、それだけでは戻りやすいことがあります。つながりをゆるめるケアを併せてみてください。
手首だけほぐせばいいですか?
腱鞘の“膜のライン”は背中までつながっています。手首だけでなく、腕〜背中(肩甲骨の内側)までゆるめると根本的です。
やるときのコツは?
強く押す・引っ張るのは逆効果です。皮ふを“ずらす”イメージで、痛くない範囲でやさしく行ってください。
ばね指にも同じケアで良いですか?
考え方は近いですが、指の引っかかり(ばね現象)が強い場合は進行していることがあります。整形外科での診察とあわせて、痛くない範囲で行ってください。
注射や手術をすすめられています。
炎症が強い場合、医療機関の治療が優先です。治療と並行して、再発予防としてつながりのケアを続けるのがおすすめです。
どのくらい手を休ませればいいですか?
ズキズキする急性期は数日〜1週間、できる範囲で負担を減らしましょう。完全に使わないのは難しいので、持ち方・使い方の工夫と併用してください。

もっと知りたい・相談したい方へ

その場のケアは動画で、根本の改善は治療院で。

※本記事は健康情報の提供を目的としたもので、診断・治療を行うものではありません。効果には個人差があります。しびれ・強い痛み・長引く症状がある場合は、医療機関にご相談ください。