CASE 28 首・肩・腰・股関節の痛み
首から肩甲骨、腰、股関節まで複数の不調が重なっていた男性

首・肩・腰・股関節に広がる痛み——体の内側の連鎖をたどる

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首・肩甲骨・腰・股関節と、複数の痛みが重なる男性が登場

沖倉先生

今回は、右の首と肩甲骨のまわりの張りや痛みを、ずっと繰り返しているというお話でしたね。

患者さん

そうですね。

沖倉先生

それに加えて、右の腰からお尻にかけての腰痛と、股関節の痛みも。

患者さん

はい。股関節は、特に左がひどいです。

首と肩甲骨まわりの不調は2年ほど、腰は半年ほど前から。股関節は、いつからか思い出せないほど長く続いていました。2019年8月に糖尿病が分かり、現在は薬で治療中。血糖値はそれ以前から高い状態が続いていたそうです。趣味でトランペットを吹きますが、最近は声が出しにくく、息が続かなくなっていました。

症状/困っている場面

沖倉先生

首を動かしたときに、どのあたりが辛いですか。

患者さん

振り向いたり動かしたりすると、こちら側がずっと辛くて。楽な向きもあるんですが、その動きが必要になると「ああ」となる感じです。

首を回す、上を向く、寝返りを打つ——日常のなにげない動作のたびに痛みが顔を出します。腰も、半年前に「そのうち治るだろう」と思っていたら、そのまま引かずに続いていました。三つの痛みは、それぞれ別の場所にありながら、どこか関わり合っているようにも見えます。

動作検査——離れた部位を一つずつ照合する

沖倉先生

まず首を回してみましょう。この向きはどうですか。

患者さん

ここが辛いです。

沖倉先生

では反対回りは。

患者さん

やっぱり、ここが強いです。

沖倉先生

上を向く動きは。

患者さん

あ、これはもうここ。首の後ろ側に来ます。これが一番辛いです。

沖倉先生

寝返りも見てみましょう。右向きに、ゆっくり。

患者さん

こっちに向くときは痛くないんですが……今、痛いです。ここが。

首の回旋、上向き、寝返り。動作ごとに痛む場所を一つずつ言葉にしてもらい、辛さの出どころを丁寧に照合していきます。バラバラに見える痛みの奥に、共通の出発点がないかを探る作業です。

痛む場所ではなく“体の内側の一本の線”に着目

沖倉先生

骨盤の中の内側に、癒着したものがあります。これが股関節の奥までつながっていて、内側の前のほうから首まで引っ張っている。首の緊張が強いのも、元をたどるとここなんです。

患者さん

えっ、そこからですか。

沖倉先生が目を向けたのは、痛む首や腰そのものではなく、体の中心を縦に貫く深いつながりでした。表層の外側の筋肉は問題なく、硬さは中心部——骨盤の中から股関節、そして首の前側へと続く一本のラインに集まっています。離れた部位の痛みが一度に説明できるのは、それらが同じ線の上で引き合っているからだ、という見立てです。

沖倉先生

右足を、天井のほうへ上げてみてください。ほら、上がらないでしょう。

患者さん

上がらないです。

沖倉先生

股関節の内側の筋肉——腸骨筋がかなり固まっていて、曲げるとここでぶつかる。外へ少しずらすと、ほら、動く。この違いを覚えておいてください。

患者さん

本当だ。ここでガツッとぶつかります。

沖倉先生

腕も同じです。上げると違和感、曲げると鈍い痛みが出ますね。喉から鎖骨の下を通るつながりで、肩鎖関節よりも胸鎖関節——胸骨と鎖骨の間の緊張が、とても高い。

患者さん

はい、そこ痛いです。

沖倉先生

声が出しにくいのも、トランペットで息が続かないのも、ここの緊張で肺活量が落ちているからだと思います。ここを抜けば、声も息も戻るはずですよ。

施術——内側の腸骨筋から、首・肩へ

施術は、体の中心を通る深いラインの前側・内側にねらいを定めて始まりました。固まった腸骨筋を引っ掛けるように捉え、内側の癒着を少しずつ外していきます。取れた手応えを、その場ですぐ動きで確かめていきます。

沖倉先生

内側が取れたので、股関節を曲げてみますよ。ほら。

患者さん

全然違いますね。引っかかりがなくなったのが分かります。

沖倉先生

ここが取れると、首の喉のほうの緊張も一緒に落ちる。肩まで続いているので、そのまま行きますよ。

患者さん

ああ、全然ないです。(笑)さっきと全然違います。面白いですね。

沖倉先生

内側の緊張が取れたので、今度は外へ開きます。外転も、さっきより引っかからないでしょう。

患者さん

はい、ないです。

施術後の変化——首・腕・股関節を再検査

患者さん

なんか、ここにあったものが、なくなった感じがします。動かしても全然です。これは嬉しい。

沖倉先生

首の回旋、こちら側はどうですか。

患者さん

だいぶ動きます。平気です。反対も引っかかりないです。

沖倉先生

さっき一番辛かった、上を向く動きは。

患者さん

なんともないです。あんなに辛かったのに。

沖倉先生

寝返りはどうでしょう。

患者さん

腰、平気です。痛みがないです。さっきは「よっこいしょ」という感じでしたけど、今は楽に返れます。

首の回旋、上向き、寝返り。検査で痛みを確認したすべての動作を、その場でもう一度なぞり直します。触れていない肩や腰まで軽くなったのは、それらが同じ一本の線でつながっていたからだ、と本人も実感していきます。

動画で交わされた詳しいやり取り

沖倉先生

状況をうかがいます。この痛みは、それぞれいつごろからですか。

患者さん

股関節は、もういつからか分からないくらいです。首と肩甲骨は、年単位で、おそらく2年ぐらい。腰は半年ほど前に「痛いな」と思って、そのうち治るかと思ったら、ずっとこのままで。

沖倉先生

糖尿病は、いつごろ。

患者さん

2019年の8月に発覚しました。血糖値が高いのは、その前から薄々分かってはいたんですが。今は薬で治療しています。

沖倉先生

首を動かすと、外側ではなく中心のほうが辛いんですね。筋肉でいうと外側は平気で、体の中の中心部分に塊がずっと続いている状態です。

患者さん

自分でグリグリすると、うわ、すごいな、というのがあって。

沖倉先生

その塊は、骨盤の内側から来ています。前側の癒着が股関節の奥につながって、そこから首を前へ引っ張っている。だから首の緊張も強い。

患者さん

なるほど。

沖倉先生

股関節を外へ開こうとすると、ここで制限されますね。右足を上げても上がらない。腸骨筋が内側で固まっているからです。

患者さん

本当だ。ぶつかりますね。

沖倉先生

腕も、喉から鎖骨の下を通るつながりで引っかかっています。胸鎖関節の緊張が高く、それが声の出しにくさや、息の続かなさにも影響しています。

患者さん

トランペットを吹くのに、声が出しにくくなっていたんです。

沖倉先生

では、その内側の癒着を取っていきます。深い前側の線につなげて、腸骨筋を引っ掛けて……はい、内側が取れました。股関節を曲げてみてください。

患者さん

全然違います。引っかかりがなくなりました。

沖倉先生

同じ線で肩や腕までつながっているので、そのまま整えます。腕を下げてみてください。引っかかりは。

患者さん

ないです。さっきと全然違います。面白いくらい。

沖倉先生

中は本当に膜なんです。糖尿の方は、この膜がとても張り付きやすい。冷えて固まった粘土のように、背中からお腹の中心にかけて粘りついていました。これが慢性の腰痛の元になっていたんです。

患者さん

なるほど。そういうことだったんですね。

沖倉先生

今日、癒着は取りました。ただ、また固めてしまうと戻りやすい。油ものや甘いもの、糖質を少し控えてもらえればと思います。

患者さん

分かりました。体の中がこんなに関係しているとは思いませんでした。トランペットも、また気持ちよく吹けそうです。

FAQ

この症例についてよくある質問

この症例では、どのような悩みが紹介されていますか?

首・肩・腰・股関節の痛みという悩みを抱えた方の症例です。首から肩甲骨、腰、股関節まで複数の不調が重なっていた男性という生活上の困りごとから、問診と動作検査、施術前後の変化までを紹介しています。

なぜ痛む場所ではなく、離れた部位を施術するのですか?

六層連動操法は、痛みの原因を痛む場所だけに求めません。皮膚から骨まで六つの層の癒着や、筋膜のつながりをたどり、離れた部位(お腹・胸郭・首・過去の手術痕など)から動きを取り戻します。この症例でも、痛む場所とは別の部位に着目して施術しています。

この施術は、どこで受けられますか?

六層連動操法は、セミナーを修了した認定施術者が全国・海外の治療院で行っています。お近くの認定治療院は「全国の治療院」ページからお探しください。

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