ホーム › 癒着と痛みの考え方 › ぎっくり腰をくり返すのはなぜか
RECURRENT ACUTE LOW BACK PAIN
ぎっくり腰をくり返すのはなぜか
「癖」ではなく、腰を不安定にしている元がある
重い物を持ったわけでもないのに、くしゃみや前かがみの拍子に腰がギクッとなる。一度経験すると、次はいつ来るかとびくびくしながら過ごすことになります。くり返す方の多くは「癖になった」と言いますが、六層連動操法はくり返すには理由があると考えます。腰そのものではなく、腰を不安定にしている元が残っているのです。
- ぎっくり腰の多くは、背骨の間の小さな袋が関節に挟まってロックされた状態。疲れた深い筋肉の誤作動で起きる
- 2〜3日に1回くり返していた方の原因は、のど元から腰の前側の大腰筋まで続く深いつながりにあった
- 43年続いた腰痛の方は、心臓の手術歴と胸郭の前側の硬さが背景にあった。くり返す背景は人によって違う
ぎっくり腰はなぜ起きるのか——「ロック」の仕組み
ぎっくり腰の多くは、背骨と背骨の間にある関節包という小さな袋が関節に挟まって、ロックされた状態です。ふだんは背中の深い筋肉(多裂筋)が袋を挟まらないように調整していますが、山登りや雪かき、長時間の立ち仕事で疲れると誤作動を起こし、袋が関節に挟まります。いちばん起きやすいのは、第5腰椎と仙骨の間です。その場でロックを外すセルフケアはぎっくり腰のセルフケアで動画と図で紹介しています。
六層連動操法が見るのは、なぜ多裂筋が誤作動しやすい状態になっているのか、です。手術やケガ、内臓の炎症のあと、修復の過程で膜どうしが貼りついたまま残ったものを癒着と呼びます。癒着はまわりの膜を引っぱり続け、引っぱられた筋肉は身を守るように縮こまります。腰の前側を走る大腰筋や、お腹の中の膜がこの縮こまりで硬くなると、腰椎は常に前へ引かれて不安定になり、多裂筋は働きづめで疲れます。この状態では、あくび一つでも袋が挟まります。
2〜3日に1回ぎっくり腰をくり返し、車に乗るだけ、あくびをしただけでも腰がギクッとなっていた方の症例では、検査で腕が途中で止まることから首の硬さに気づき、甲状腺の摘出手術を受けたことを聞き取っています。硬さの出発点はのど元で、鎖骨まわりから腕の内側、背中、そして腰の前側の大腰筋まで深いところで一本につながっていました。この大腰筋の張りが腰椎を不安定にし、頻繁なぎっくり腰を誘発していた、というのが沖倉の見立てです。

腰の骨(腰椎)。上下の骨は後ろ側の小さな関節(関節突起)でかみ合い、その関節を包む袋が挟まるのがぎっくり腰のロック
出典: OpenStax College, CC BY 3.0

大腰筋は腰椎の前側から太ももの付け根へ付く。ここが縮こまると腰椎は前へ引かれて不安定になる
出典: Beth ohara, CC BY-SA 3.0

腰椎を横から見たレントゲン。いちばん下の第5腰椎と仙骨の間が、ロックの起きやすい場所
出典: FitBro, CC BY-SA 4.0
画像は Wikimedia Commons の公開画像(各出典・ライセンスを表記。英語のラベルは日本語に置き換えた派生版)。記事の症例の方のものではない。
腰を強く押すと、かえって悪化する理由
ぎっくり腰は炎症をともないます。炎症を起こしている腰を強く押したり、骨盤を矯正したりすると、傷んだ組織がさらに傷つき、修復の過程で新しい癒着ができます。上の症例の方は、骨盤矯正を受けてかえって悪くなり、別の整体で施術を受けたあとには全身の筋肉を痛めて内出血と腫れが起き、2週間寝たきりになっています。「強い施術のあとにぎっくり腰が増えた」という経験のある方は、施術そのものが癒着を増やしていた可能性を考えてください。
痛みが引きかけた時期に無理をするのも同じです。炎症がぶり返し、癒着が残って再発の癖につながります。ぎっくり腰の引き金は筋肉の疲労なので、運動や力仕事をした日は入浴と睡眠でその日のうちに疲労を抜くこと、物を持ち上げるときは腰からかがまず膝を曲げて体を近づけることが、再発を減らす基本です。ただ、腰を不安定にしている癒着が残っている方は、これだけでは追いつきません。
六層連動操法が確認すること
六層連動操法の考え方そのものは 癒着と痛みの考え方 にまとめています。ここでは、この症状で何を確認するかだけを書きます。
ぎっくり腰をくり返す方には、腰そのものより先に、腕の上がり方・首の動き・股関節の曲がりを確認します。腰とは関係なさそうな動きが途中で止まるとき、そこに腰を不安定にしている引っぱりの元があります。炎症が残っている時期の腰は強く押さず、離れた場所の癒着をやさしく剥がす方針をとります。
- 動きを確認腕上げ・首の回旋・前屈・起き上がり・歩き方で、どこで止まるか、腰を押さえずにいられるかを整理する
- 原因をたどるのど元・鎖骨まわり・胸郭の前側・お腹の奥・大腰筋で、腰椎を前へ引いている癒着を探す。手術歴(甲状腺・心臓・お腹)と強い施術を受けた経験も確認する
- 癒着を剥がして再確認テコの原理で深い層に届かせて剥がし、起き上がりと歩き方、腰を押さえる癖が消えたかを比べる
症例の方は、のどから首の制限をゆるめる途中で腕が上がるようになり、起き上がっても腰を押さえずにいられたと記録されています。腰を押さえないと不安定だった歩き方は支えなしで歩けるようになり、いつも痛んでいた太ももの痛みも階段を試したときには感じなかったと話しています。43年続いた腰痛の男性は、20代後半のぎっくり腰以来、左右とも2〜3年ごとにくり返し、通った先はのべ20件でした。この方では心臓の手術歴と胸郭の前側の硬さに着目しています。くり返すぎっくり腰の背景は、人によって違う場所にあります。
実際の施術での会話
ぎっくり腰をくり返すのはなぜかの方の症例動画で、実際に交わされたやり取りです。沖倉が原因を伝えた言葉と、剥がした直後の反応を、動画の言い回しのまま引用しています。
沖倉「では一度、ゆっくり起きてみましょう。腰に力が入っても痛みは出ますか。」
患者さん「あれ、大丈夫です。いつもここが痛いのに…押さえなくても平気です。」
「もう生きるのも辛い」激痛で眠れない日々。(長年の腰痛・筋肉断裂)沖倉「では起き上がって立っていただいて。」
患者さん「動作が全然違う。びっくり。足の軽さ、背中の軽さ、全部軽くなりましたね。生まれ変わったよ。そういう表現しかない。」
43年続く腰痛と正座できない右膝——原因は胸郭の前側の癒着(腰痛・膝痛)沖倉「そのまま肩のほうもやっていきましょう。腕をこちら側に回していってもらえますか。」
患者さん「このあたりで制限がすごく強いです。肩甲骨が動いていなくて、自分で動かせないのが分かります。ここが動作的に一番辛いんです。」
首・腰痛、1回の施術で解消!1ヶ月後には..(首・腰痛)炎症が続くと、新しい癒着ができる
ぎっくり腰をくり返す方は、腰を不安定にしている大腰筋とお腹の中の膜が、腸の炎症でまた硬くなります。大腰筋は腸のすぐ裏を通るので、便秘や下痢が続く週にぎっくり腰が起きやすい方は、腰の使い方より先に腸の状態を疑ってください。
ぎっくり腰の前の週に多いもの。
- 便通の乱れ(便秘・下痢が続く=腸の炎症のサイン)
- 宴会や外食が続き、揚げもの・脂っこい食事が増えた
- 甘いもの・清涼飲料の量
- 睡眠不足で疲労が抜けないまま力仕事をした
運動や力仕事をした日は入浴と睡眠でその日のうちに疲労を抜くことが、再発を減らす基本です。
施術の様子(動画)
ぎっくり腰をくり返すのはなぜかの施術では、痛む場所ではなく原因の場所をたどります。癒着を剥がした直後に動きがどう変わるかを、編集せずに公開しています。
「もう生きるのも辛い」激痛で眠れない日々。(YouTube)
同じ症状の施術症例
ぎっくり腰をくり返すのはなぜかで来院した方の記録です。問診・動作の確認・原因の見立て・施術後の変化を、症例ごとに読めます。
よくある質問
ぎっくり腰の最中でも施術は受けられますか?
炎症が強い時期は腰そのものには触れません。その場でロックを外すセルフケアを先に試し、落ち着いてから、くり返す元になっている癒着を離れた場所から剥がしていきます。しびれや力の入りにくさがある場合は、先に整形外科で確認してください。
コルセットは着けたままでいいですか?
痛みが強い時期の固定は構いません。ただ、コルセットは腰を不安定にしている引っぱりを変えるものではないので、外すと不安になる場合は原因が残っていると考えてください。
骨盤矯正で良くなると言われました。
ぎっくり腰は炎症をともなうので、強く動かす施術はおすすめしません。症例の方は骨盤矯正のあとに悪化しています。六層連動操法は腰や骨盤を強く動かさず、腰を不安定にしている元を探します。
あわせて読みたい
六層連動操法を受けられる治療院
六層連動操法は、沖倉国悦のセミナーを修了した認定施術者が全国で行っています。地域別に探せます。体験会・セミナー・施術モニター募集などの最新情報は公式LINEでご案内しています。
現在、沖倉国悦本人による新規の施術予約は受け付けておりません。
「六層連動操法は怪しい?」と感じた方は、医師監修の臨床試験の結果と受講した施術家の実績をご覧ください。
この記事について
六層連動操法事務局が、沖倉国悦の臨床経験と公開している施術動画・症例記録をもとに作成しています(作成日:2026年10月17日)。「癒着」は六層連動操法の臨床上の見方を含む言葉です。記事の訂正・ご質問はお問い合わせページへお寄せください。

整体に通うたびに悪化——脚の内側を引く下腹部の癒着を検査
大きく曲がった側弯症——腹部・骨盤の手術歴から動きを見直す