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HIP FRONT PAIN & ADHESION
股関節の前側・付け根が痛い、つまる
腸腰筋とお腹の奥の「癒着」を見る理由
椅子から立ち上がる瞬間に脚の付け根がズキッとする。深くしゃがむと股関節の前がつまって、それ以上曲がらない。靴下をはく、足の爪を切る動作がしにくい。股関節の前側(鼠径部)の痛みやつまり感は、股関節の相談のなかでも特に多い症状です。六層連動操法では、この前側の痛みを股関節の前を通る腸腰筋と、その奥にあるお腹・骨盤の内側の膜が、癒着に引っぱられて縮こまった状態と考えます。痛みが出ているのは付け根でも、原因はお腹の奥にあることがほとんどです。
- 前側のつまりは、腸腰筋がお腹の奥や骨盤の内側の癒着に引っぱられ、縮こまった結果として出る
- ストレッチで戻るのは、腸腰筋を引っぱっている癒着そのものが伸ばしても剥がれないから
- 六層連動操法は股関節を無理に動かさず、お腹の奥の癒着を剥がして曲がる角度の変化を確かめる
股関節の前側はなぜ痛む・つまるのか
股関節の前側には、腰の背骨と骨盤の内側から出て、お腹の奥を通り、太ももの骨につながる腸腰筋(ちょうようきん)という大きな筋肉が通っています。脚を持ち上げる、立ち上がる、歩き始めに脚を前に出す。どれも腸腰筋の仕事です。この筋肉が縮こまったまま伸びなくなると、立ち上がりでズキッとし、しゃがむと前がつまります。
では、なぜ腸腰筋が縮こまるのか。六層連動操法では、その元を癒着と考えます。手術やケガ、腸や腎臓・子宮など内臓まわりの炎症のあと、修復の過程で膜どうしが貼りついたまま残る。それが癒着です。癒着はまわりの膜を引っぱり続け、引っぱられた筋肉や膜は、身を守るように縮こまります。これを攣縮(れんしゅく)といいます。腸腰筋はお腹の奥で腸や腎臓を包む膜のすぐそばを通っているため、お腹の奥や骨盤の内側に癒着があると、真っ先に引っぱられて縮こまる筋肉です。
つまり、前側の痛みやつまりは、腸腰筋そのものの問題というより、腸腰筋を引っぱっているお腹の奥・骨盤の内側の癒着の信号です。片方だけ痛む理由は股関節の痛みの原因(片方だけ痛い)で、股関節の症状全体は股関節のまとめページでも解説しています。
ストレッチや揉みほぐしで「戻る」理由
股関節の前を伸ばすストレッチをすると、その場では付け根が軽くなります。鼠径部を揉んでもらっても同じです。ただ、どちらも腸腰筋を引っぱっている癒着には届いていません。筋肉はいったん伸びても、癒着が残っていれば数日でまた引っぱられ、同じ場所が縮こまります。「病院で股関節の写真を撮っても骨には大きな異常がない」「それなのに前がつまる」という方は、原因が股関節の中ではなく、腸腰筋を引っぱっている奥の膜にあることを体が示しています。
揉みほぐしも同じです。鼠径部の表面を強く押しても、刺激は浅い層にとどまり、お腹の奥や骨盤の内側にある癒着には届きません。
もうひとつ、縮こまった腸腰筋を無理に伸ばし続けると、付け根に小さな炎症が起こり、その修復でまた新しい癒着ができることがあります。「伸ばすほどつまる」「揉むほど硬くなる」と感じている方は、この流れに入っている可能性があります。痛む場所と、原因の場所は別です。
六層連動操法が確認すること
六層連動操法の考え方そのものは 癒着と痛みの考え方 にまとめています。ここでは、この症状で何を確認するかだけを書きます。
股関節の前側が痛む方には、まず立ち上がり・脚上げ・しゃがみ・靴下をはく動作で、どの角度で止まるか、どこに痛みが出るかを確かめます。そのうえで、お腹の奥や骨盤の内側のどこを押さえると股関節の曲がりが変わるかをたどり、原因の癒着を探します。
- 動きを確認脚上げ・しゃがみ・立ち上がりで、止まる角度と痛みの出る場所を整理する
- 原因をたどる腸腰筋の通り道にそって、お腹の奥・骨盤の内側・腰の背骨まわりで股関節を引っぱっている癒着を探す
- 癒着を剥がすテコの原理で最小限の力を深い層に届かせて剥がし、同じ動作で角度と痛みを比べる。変わらなければ別の層・別の場所を検査し直す
股関節を無理に回したり、引っぱったりはしません。表面を強く揉むこともありません。
両側とも末期の変形性股関節症と言われた方の症例では、股関節の前側と腸腰筋の癒着を剥がしたあと、立ち上がりで足に力が入る感覚と歩幅の変化が出ています。16歳で幼少期から股関節が曲がらなかった方の原因も、股関節ではなくお腹にありました。靴下がはけないほど曲がらなかった方は、骨頭の動きの悪さで縮こまっていた腸腰筋まわりが変わり、前かがみの角度が変わっています。
実際の施術での会話
股関節の前側・付け根が痛い、つまるの方の症例動画で、実際に交わされたやり取りです。沖倉が原因を伝えた言葉と、剥がした直後の反応を、動画の言い回しのまま引用しています。
沖倉「今いちばん制限があるのはここ、上側です。これが制限因子になっている。脚も同じように、これで制限になっているから、そこを今緩めます。」
患者さん「そこばっかりすごく揉みたくて。ここがすごく辛いんです。」
末期の変形性股関節症で歩くのがやっと——股関節前側と腸腰筋から腰へ(変形性股関節症)沖倉「まあ、まだ小さいからね(笑)。じゃあお腹をゆるめますね。…はい、足を上げてみてください。」
患者さん「あ、すごい。全然違う。かなり上がります。」
16歳、幼少期からの股関節制限——お腹から動きを見直す(16歳の股関節制限)沖倉「良かったですね。歩いてみましょう。」
患者さん「あ、歩ける、歩ける。すごい。あ、膝が上がる。ちゃんと上がります。全然違います。いける、いける、いける。足を上げられているだけなんですけど、それがなんか魔法みたいに、ふっと痛みが抜ける瞬間が分かって、あれ、軽い軽い軽い…」
靴下が履けない変形性股関節症——骨頭の動きの悪さによる攣縮(変形性股関節症)炎症が続くと、新しい癒着ができる
腸腰筋は腸と腎臓のすぐそばを通ります。そこで炎症が続いていると、剥がしたあとも腸腰筋のそばに新しい癒着ができ、前側のつまりが戻ります。前側の痛みの方で、お腹を押すと硬い・張る・冷たいという感覚がある場合は、股関節を動かす前に、お腹の中の炎症が続いていないかを疑うのが近道です。
16歳で幼少期から股関節が曲がらなかった高校生の症例では、原因は股関節ではなくお腹の中の癒着で、沖倉はアトピー体質と食事の関係を本人に説明しています(詳しくは股関節の痛みの記事)。腸腰筋のそばの炎症を減らすには、次の点を見直します。
- 油もの・加工食品・甘いものの量(アレルギー体質の方は反応が出やすい)
- 便通(毎日出ているか、張りが残らないか)
- 冷たい飲みものを一気に飲む習慣
- 睡眠不足(腸の炎症が引きにくくなる)
施術の様子(動画)
股関節の前側・付け根が痛い、つまるの施術では、痛む場所ではなく原因の場所をたどります。癒着を剥がした直後に動きがどう変わるかを、編集せずに公開しています。
末期の変形性股関節症で歩くのがやっと——股関節前側と腸腰筋から腰へ(YouTube)
同じ症状の施術症例
股関節の前側・付け根が痛い、つまるで来院した方の記録です。問診・動作の確認・原因の見立て・施術後の変化を、症例ごとに読めます。
よくある質問
前側が痛いのに、お腹を見るのはなぜですか?
股関節の前を通る腸腰筋が、お腹の奥と骨盤の内側から出ているからです。腸や腎臓のまわりに癒着があると、腸腰筋が引っぱられて縮こまり、付け根に痛みやつまりが出ます。六層連動操法では、痛む場所とつながっている離れた場所を確認します。
座っている時間が長いのが原因ではないですか?
座る時間が長いと腸腰筋は縮んだ状態が続きますが、同じように座っていてもつまらない人はいます。差を作っているのは、腸腰筋を引っぱっている癒着があるかどうかです。癒着が剥がれると、座る時間が同じでも付け根の伸びやすさが変わります。
変形性股関節症と言われています。前側のつまりも変わりますか?
変形そのものを戻す施術ではありません。ただ、前側のつまりの多くは骨ではなく腸腰筋とお腹の奥の癒着で止まっているため、剥がすと曲がる角度が変わる方が多くいます。末期と言われた方の症例を公開しています。
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六層連動操法を受けられる治療院
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この記事について
六層連動操法事務局が、沖倉国悦の臨床経験と公開している施術動画・症例記録をもとに作成しています(作成日:2026年10月17日)。「癒着」は六層連動操法の臨床上の見方を含む言葉です。記事の訂正・ご質問はお問い合わせページへお寄せください。

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